福寿草

2月から3月ごろ、

春の訪れを告げるように咲く福寿草

 

福を招き長寿を意味する花として、古くから日本人に親しまれてきた縁起のいい花。

昔からお正月飾りなどにも使われます。

 

寒い季節に土から顔をだし、小さな黄色い花が集まるように咲く姿は見た目も可愛らしく、

鉢植えやガーデニングの花としても人気がありますね。

 

しかし一方で、

非常に強い毒性を持っていることでも有名!

 

でも大丈夫!!!

きちんと知識さえあれば、コワいことは何もない花なんですよ。

 

今回は園芸記事担当である花屋の私が、

そんな福寿草のちょっぴり危険な一面をご紹介いたします。

 

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致死量は35mg!強い毒草であり、薬草でもある

毒

福寿草は、全草に「強心配糖体」といわれる成分を多く含み、

少量で強力な強心作用を及ぼします。

 

漢方では、根や根茎を干したものを、心臓の薬として使います。

 

しかし、その力があまりにも強いので、ちょっとでも用量を間違えると心臓麻痺を起こして死亡してしまいます。

 

この危険度の高さから、

一般には「毒草」とされているんですね。

 

福寿草の致死量は0.7mg/kg

体重50kgの人なら35mg、60kgなら42mgで死に至るということ…!

 

誤飲してしまった時の症状は?対処法は?

腹痛

危険量を摂取してしまった場合、約8割の人は、

数時間以内に激しい腹痛を伴う嘔吐の症状があらわれます

 

その他にも、

  • 幻覚を見る
  • 錯乱性の迷妄に襲われる
  • てんかんのような発作を起こす
  • 頭痛や筋肉痛を訴える
  • 脱力感で虚ろになる

などの症状が出るケースもあり、放っておくと心筋に異常が生じて死に至ります。

 

この時、血中のカリウムの値が急激に上がっているのが特徴。

高カリウム血症になるほど、重症と言えるのです。

 

また、福寿草の毒にやられた場合、

特に有効な対処法・処置法は、ありません!

  • 高カリウム血症を緩和する薬を処方する
  • 不整脈を正す

…などの対処療法を施しつつ、

後は体が毒にもちこたえてくれることを祈るしかないのが現状。

 

透析などをして強心配糖体を取り除く」というようなことはできないのです。

 

くれぐれも、誤食しないように注意することが大事ですね。

 

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誤食の原因は「フキノトウと間違えて」…?

フキノトウ

花を手で触ったり、香りをかいだり…ということから毒が体内に入る、

ということはまず、ありません。

 

福寿草の毒は食べない限り、心配する必要はほとんどないもの。

 

…が!

 

たまに誤って食べてしまう人がいるのですね

 

おそらく一番多いのは、春の初めごろ、山に山菜などを採りに行った人が、

フキノトウと間違えて採り、食べてしまうケース

 

花が咲いていれば間違えることはないのですが、

芽が出たばかりの福寿草は、フキノトウと見た目がとっても似ています!

 

発芽する季節も丁度同じころなので、間違えやすいんです。

これは覚えておきたいポイントですね。

 

また、現代よりひと昔前……民間療法が今より一般的だった時代は、

福寿草は心臓の漢方だ」という知識を伝え聞いた心臓の弱い人が、自分で根っこを煎じて飲んでしまう…

という事故がたまにあったようです。

 

毒が強いと、他の植物と一緒に育てられない?

ガーデニング

いいえ!そんなことはありません。

 

福寿草に限らず、

毒草の隣に普通の植物を植えたら、毒が移ってしまうということはないです。

 

その植物が持つ毒性を他の植物の根から吸収する、という心配は御無用!

 

例えば、毒があることで有名な彼岸花

彼岸花の毒性が、同じように他の植物にとって心配ならば、

田んぼのあぜ道に咲く彼岸花、その近くの水田のお米も、毒されていることになってしまいますもんね。

 

ただ、くれぐれも、誤食には注意すること。

  • 庭で放し飼いにしているペットが食べてしまう
  • 小さいこどもが手にして遊んでしまう(口に入れる恐れがある)

などのケースには、充分に気を配りましょう。

 

ほかにもこんな、毒性が強い身近な植物たち

トリカブト

植物から受ける恩恵は、とっても多いものです。

とくに日本では、「植物性だから体にやさしい」という概念が定着しているところがありますね。

 

しかし、ぜんぜん体に優しくない植物だって、多く存在するのが事実。

福寿草のように、食べたらアウト!な植物や、

触ると体にかぶれを引き起こす植物などは、日本だけを見てもたくさん生息しています。

一般的に言われる【日本の三大毒草】は、コレ!

1.トリカブト

摂食直後~30分以内に、体に痺れと刺すような痛みが広がり起立不能に。

吐き気、嘔吐、不整脈などの症状も現れます。致死量は少量。

 

2.ドクウツギ

人が食べると痙攣・呼吸困難に陥り、場合によっては死亡。茎や葉も有毒です。

orハシリドコロ

全草に毒を含み、摂取後嘔吐や異常興奮を起こし、最悪の場合には死に至ります。

 

3.ドクゼリ

皮膚からも吸収され易い毒を持ち、痙攣、呼吸困難、嘔吐、下痢、腹痛…などの中毒症状があります。

人の致死量は50mg/kg。5g以上の摂取で致死的中毒の可能性が。

 

その他にも、身近な植物で毒を持っている花は…

*キンポウゲ*

誤って食べると呼吸麻痺、下痢、嘔吐や幻覚を惹き起こします。

重篤な場合は麻痺、知覚麻痺、痙攣などの症状がでて、死に至るケースも。

*水仙*

見た目から、葉をニラと間違って誤食するケースがあるのが水仙。

2.3gほどの少量の摂取の場合、30分くらいで悪心、嘔吐、下痢、流涎、発汗などの症状が出ます。

大量になると神経麻痺の可能性がありますが、多くの場合は初期に吐いてしまうので、重症には至らないですね。

*スズラン*

全草に有毒成分がありますが,特に花の部分に多いです。

嘔吐,疝痛,下痢などの消化器障害が現れ、重症の場合は昏睡状態に陥り,

四肢脱力,呼吸麻痺などの症状がでて、痙攣を起こして死亡する例も。

*彼岸花*

少量の摂取の場合は水仙を誤食したときと似た症状が出ます。

水仙と同じく、初期に吐いてしまえるので初期症状でとどまることが多いです。

万が一吐ききれずに循環器系に至ると、頻脈、胸痛などになり、重篤な場合は心停止することも。

 

充分に、気をつけましょう!

 

まとめ

  1. 福寿草は全草有毒。強い強心・利尿作用を持ち、根を漢方として使うことも
  2. 誤飲したら激しい腹痛と嘔吐が!死に至ることもあるので要注意
  3. 誤飲の原因は、「フキノトウ」とよく似ているから
  4. ガーデニングにも大丈夫!他の植物に毒は移りません
  5. 覚えておこう、毒性が強いその他の植物

 

雪が溶けると黄色い花を咲かせ、春を知らせてくれる福寿草の花。

自宅の庭や鉢に植えて楽しむためにも、

きちんとその性質を知って育て、季節の移ろいを身近に感じられたら素敵ですね。

 

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