法要や法事の際にお世話になる、
お寺のお坊さん。
「おぼうさん」、となんとなく呼称していますが、実は、いろいろな呼ばれ方があるのを知っていますか?
たとえば、「住職」(じゅうしょく)や「和尚(おしょう)さん」などは、よく耳にしますね。
宗派や地域によっては、さらに呼び方が違ってきます。
呼び方について困るパターンは、
実際にお寺のお坊さんと対面したとき!
「お坊さん、こんにちは」
って……ア、アレ?なんか違わない?お坊さんに向かって、なんて呼びかけたらイイの~??
今回は、いざという時のために知っておきたい~!
いろいろなお坊さんの呼び方について、紹介していきます♪
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各宗派でこんなに違う!お坊さんの呼び方
浄土真宗では、お坊さんのことを
「ご住職様」「お寺さん」と、呼ぶことが多いですね。
では、他の宗派のお坊さんは…?
- 【真言宗】:和尚(わじょう)様
- 【天台宗】:和尚(かしょう)様
- 【浄土宗】:和尚(おしょう)様
- 【臨済宗】:和尚(おしょう)様
- 【曹洞宗】:方丈(ほうじょう)様
- 【日蓮宗】:ご上人(しょうにん)
こんなふうに、宗派によって呼び方は違うようです。
かしこまった呼び方をしたいなら?
基本的には、
が、広く浅い使い方としては便利です。
間違ってはいないのですが、
この呼び方は少し、かしこまった堅い印象になります。
世間一般的な、お寺の僧侶の方にも使える呼び方でもあるので、
「ご住職さん」と呼ぶことで、大きく間違うようなことはさけられますね。
普段使いの呼び方なら…
お寺の門徒(もんと)の方や、※(門徒=浄土真宗を信仰する人)
もう少しラフな呼び方をしたい…という場合、
と呼ぶのが便利です。
た だ し !
この呼び方は、ご住職さんに面と向かっては、使わないほうが良いです。
「お寺さん」という呼び方は、不特定多数のお寺のご住職さんに対する呼び方でもあるからです。
門徒の方ならこう呼びましょう!
門徒の方ならば、自分のお寺のご住職さんのことを、
と、親しみを込めた呼び方をします。
お寺にお参りをしたことがあれば、聞いたことがあるかもしれませんね!
「ご院家さん、今日はありがとうございました」という感じで使います。
浄土真宗の根付いた家庭や地域によっては、
- 「ご院さん」(ごいんさん)
- 「院主さん」(いんじゅさん)
と呼ぶ方もいます。
こんな呼び方はNG!
お寺の僧侶の方を、
と呼んでいるのを、見聞きしたことがありませんか?
コレ、要注意!
少し失礼な言い方になりますので、使わないほうが無難です。
なんていうのは、もってのほかですよ!
そもそも浄土真宗の戒律では頭を坊主にしなくてよいので、「お坊さん」といった言葉自体、そぐわない気もしますね。
髪の毛を生やした方がほとんどです。
もうひとつ、ついつい使いがちなのが
他宗派の僧侶の方には使うかもしれませんが、
浄土真宗では「和尚さん」といった呼び方はしないので、覚えておきましょう。
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地域や階級でも呼び方が変わる!
お坊さんの位によって、呼び名が変わる場合もあります。
年齢によって、
- 「老師」(ろうし)
- 「御老僧」(ごろうそう)
- 「若院」(じゃくいん)
などを使うこともあります。
また、地方によっては下記のように呼ぶことも。
「ごえんじゅ」
寺院の主→院主(いんじゅ)→御院主(ごいんじゅ)→「ごえんじゅ」
「ごえんさん」
ご院さん→「ごえんさん」
「おっさま」
和尚さま→おしょうさま→「おっさま」
う~ん!そんなこと言われても、
位なんてわかんない!地域性も知らない~!
そんな、「なんて呼んだらいいか解らない!」ときは、『住職さん』と呼んでおくのが吉!
この呼び方は、ほとんどの宗派、日本全国で共通。
前後に「御」や「様」をつければ、丁寧でよいですね。
女性のお坊さんは、なんて呼ぶ?
お坊さん、僧侶、というと男性のイメージが強いですが、古くから女性僧侶は存在しています。
現代でも、僧侶になることを希望するなら、女性であってもすべての宗派で受け入れられます。
以前は、性差から【修行は別々に行う方が良い】とされ、中には女性だけの尼寺として発展した寺院もありますが、
現在では差別なく受け入れるのが一般的ですね。
もともと仏教は、老若男女を問わず、すべての人に開かれた宗教。
歴史的に見ても、男女が平等に扱われてきているのですよ♪
さて、そんな、女性のお坊さんの呼び方!
これは男女関係なく、
と呼びますよ。
男性のお坊さんも、女性のお坊さんも、同じ呼び方をするのです。
そもそも「住職」というのは、本来「住持職」(じゅうじしょく)と呼ばれる仏教の職名。
一寺院を管掌(かんしょう)=(自分の仕事として責任を持って担当すること)する僧侶のことを指します。
仏教上の職名として、男女の区別はないのです。
それじゃあ、「尼(あま)さん」という言葉は何?と気になる方がいるかもしれませんね。
『尼』というのは、仏門(ぶつもん)=(仏の説いた道を極める修行のために寺に出家すること)に入った女性を指す言葉です。
男性僧侶のいる【寺】の「住職さん」に対して、女性僧侶だけの【尼寺】での習慣的な言い方は、
と呼ばれています。
尼寺では、「庵主様」(あんじゅさま)や「庵主さん」と言った方が無難かもしれません。
ただ、念をおしますが、
男性であれ女性であれ、正式には「住職」が正解です。
お坊さん、和尚、住職、上人……一体なあに?
お坊さんと言ったり、おしょうさんといったり、住職と呼んだり……う~んコンガらがる!
では最後に、各呼び名の意味や由来を、ちょっぴり見てみましょうか。
『お坊さん』・『坊主』
どちらにも共通して含まれている「坊」という漢字。
この「坊」というのは、奈良時代・平安時代の【都城制】で整備された一区画のことです。
のちに、この「坊」というのは【寺院】を指すようになり、
次第に、そこに住む僧のことも指すようになりました。
これによって、「お坊さん」「坊主」という言葉が生まれたんですね。
『住職』
住職とは、住持職の略。
お寺を守るための住み込み専従僧侶・お寺の代表者を指します。
現在では、宗教法人のお寺の場合、法律的な立場は代表役員となります。
宗派によっては、庵主住持などとも呼びます。
『和尚』
和尚は梵語(ぼんご)のオッジャーを音写したもの。
「先生」や「師匠」という意味です。人々に接し、教えを説く僧を指します。
- 天台宗では「かしょう」
- 浄土宗・禅宗では「おしょう」
- 真言宗や法相宗では「わじょう」
と読みます。
律宗では発音は同じ「わじょう」ですが、漢字は「和上」と書きます。
浄土真宗では使わない呼び名です。
『聖人』・『上人』
「学問と徳を兼ね備えた人」という意味。日蓮宗でよく使う呼び方です。
- 日蓮を「大聖人」
- 日蓮大聖人の六人の高弟を「聖人」
- お寺の住職を「上人」
と呼びます。
真宗系統でも、親鸞(しんらん)聖人のように「聖人」を使い、「上人」よりも格が上とされています。
まとめ
さて、おさらいしましょう!
- 葬儀などの挨拶をする時、お坊さんの呼び方は…
その他の宗派では、このように変わる。
- 真言宗:和尚(わじょう)様
- 天台宗:和尚(かしょう)様
- 浄土宗:和尚(おしょう)様
- 臨済宗:和尚(おしょう)様
- 曹洞宗:方丈(ほうじょう)様
- 日蓮宗:ご上人(しょうにん)様
-
- 階級や、地域によっても呼び方が変わる。全国共通は「ご住職様」!
- 女性のお坊さんも、基本的には「ご住職様」と呼ぼう
- お坊さん・坊主とは… 寺院に住む僧のことを指す言葉
- 住職とは… 住持職の略。お寺を守るための、住み込み専従僧侶。お寺の代表者を指す。
- 和尚とは… 梵語のオッジャーに由来し、先生や師匠という意味。人々に接し、教えを説く僧を指す。
- 聖人・上人とは… 学問と徳を兼ね備えた人、という意味。
さて…あなたがお世話になるお寺のお坊さんを、なんと呼べばいいか、判断できましたか?
住職…和尚さん…お坊さん…、それぞれの意味も知ると、少し理解しやすくなるかもしれませんね。
もし迷ったときには、『ご住職様』と呼べば、間違いはなし!
ただし…。お坊さんだって、「人」なんです。
誰だって、「ちょっとアナタ」と呼ばれるより「〇〇君」と正しい名前で呼んでもらったほうが、
嬉しい気持ちになりませんか?
自分が檀家になっているお寺のお坊さんくらいは、宗派に合った呼び方ができれば、
ご住職様も、お勤めに気合いが入るもの……かも、知れませんよネ♪
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