キリスト教・イスラム教・ユダヤ教
学生なら歴史の勉強で、社会人なら色んなメディアで一度は耳にしたことがあると思います。
今回は、この3つの宗教の違いって何なの?
とイマイチ理解できていない方のために、簡単かつ3つの特徴と違いが印象に残るようにまとめてみました。
まずは3つの宗教の歴史と現状について少しずつ触れてから本題に入っていきますね。
キリスト教が日本に伝来したのは戦国時代の中頃1549年で、ザビエルが伝えたものです。
しかし、豊臣秀吉による迫害や徳川家光の鎖国政策と天草の乱によって、日本からほとんどキリスト教徒はいなくなってしまいます。
その後広まり始めたのは、太平洋戦争後だといわれています。
昔からキリスト教の根本の思想である「自分らの信じること以外、全てぶっ壊す精神」で、
中世に十字軍の遠征という愚の骨頂をしでかしてしまいました。
遠征が中止されたのちもヨーロッパでは「プロテスタント」という宗派ができ、「カトリック」と教えの違いというだけでドンパチしまくっていました。
プロテスタント国とカトリック国の間に戦争がなくなったのも数百年前というのが現実です。
世界史ではキリスト教がイスラム教より勢力が大きくなったのは、ほんの最近で200年もたっていなかったと記憶しています。
昨今ISなどのテロ組織で何かと誤解を持たれているイスラム教。
アメリカとイスラエルの国民が大半を占めているユダヤ教についても、正確なところ知らないというのが実情です。
一通り説明してきましたが、この3つの宗教の関係性はリアルに複雑で難しいんです(汗)
まずは、キリスト教から詳しくみていきましょう♪
スポンサーリンク
キリスト教の特徴と信仰する神
キリスト教とは信者数は約20億人を超え世界最大の宗教で「父と子と聖霊」を唯一の神と信仰しています。
ナザレの『イエス』を救い主と信じる宗教で、
聖地エルサレムにあるゴルゴダの丘で磔刑(たっけい)に処せられたキリストの復活を信じるのがキリスト教の教えです。
現在、ゴルゴダの丘にはキリスト教最大の聖地とされる聖墳墓教会(せいふんぼきょうかい)があります。
そしてキリストの死後、弟子たちがローマで広める間の過程でできたのが、キリスト教の原型だといわれています。
キリスト教徒の信者数を宗派別に分けると、
- カトリック→10.8億人
- プロテスタント→3.5億人
- 正教会→2.2億人
- その他→3.9億人
いると言われています。
15世紀から始まった大航海時代から新大陸進出等の侵略をきっかけに植民地支配をしていたという経緯もあってか、
世界各国に信者がいることが大きな特徴です。
キリスト教の2冊の聖典とは?
キリスト教には二つの聖典があり、
一つはユダヤ教から受け継いだ旧約聖書とキリスト教の聖典である新約聖書です。
旧約というのは、神と人間とで結ばれた契約で新約はキリストと神とで新たに結ばれた契約だとしています。
さらに、キリスト教系の書物には、外典(がいてん)や儀典(ぎてん)などがあります。
- 外典とは〜ユダヤ教、キリスト教で聖書の聖典に加えられなかったもの〜
- 儀典とは〜昔は不確かな書物とされていたが、現在では聖典、外典にふくまれない書物の総称〜
カトリックの言語はラテン語と言われています。
昔の貴族階級はラテン語が必須で、キリスト教関連の書物はほとんどラテン語で書かれているせいか、
ラテン語が話せるかどうかで出世できるかできないか決まったそうです。
昔、ローマ法王庁の書庫は一般人が入ることが厳禁でした。
しかし現在、ローマ法王庁書庫はデジタル化をしているのでデジタル化されているものは読めるようになっています。
もちろん原文のままですが……。
キリスト教のシンボル
ネックレスなどのアクセサリーに使用されている【十字架】は、キリスト教のシンボルとしても有名ですね。
太古の昔からシンボルの一つとして認知されてきました。
キリスト教のシンボルはキリスト教の概念を表す内面的な意味があり、特に初期の教会は四大元素が多く多く使われていました。
四大元素とは、火・水・土・風です。
では代表的なモノをいくつか挙げていきます。
【イクトゥス】
ギリシア語で魚を意味し、魚は重要性において最も高いランクのシンボルとされ、キリスト教信者にとっては身近なシンボルの一つになっています。
【チ・ロ】
キリスト教初期の十字の一つで、キリストの地位だけではなく受難を示したものになっています。
【タウクロス】
キリストが古いアダムの不従順を覆し『新しいアダム』として救世主になったという意味のシンボルです。
【ラテン十字】
プロテスタント十字、西方十字ともいわれています。キリスト教が設立される千年前以上前から異教徒のシンボルとして使われていました。
スポンサーリンク
マニ教とキリスト教の関係
マニ教はササン朝ペルシアのマニが創始者とされています。
一時は今のイベリア半島から中国にまで広く布教されていましたが、ローマ帝国でのキリスト教の地位が飛躍的に高まったのです。
その後380年に、テオドシオス帝のミラノ勅令(ちょくれい)により国教となったのをきっかけに、マニ教の衰退が始まってしまいます。
しかし、現在でも中国の福建省(ふっけんしょう)でマニ教寺院の現存が確認されています。
キリスト教とミトラ教の関係
古代ローマ時代、『太陽神ミトラス』を主神とする密教で、ヘレニズム文化交流によって地中海地方で紀元前1世紀~5世紀にかけて発展しました。
しかし、その起源や実態などはまだまだ不明点が多いのが現実です。
キリスト教がミトラ教を目の敵にしていた?
ミトラ教にはキリスト教が原型とされている儀式や洗礼などがあるとされています。
それにキリスト教が備えてるとされている神話・神学・密儀を全て備え、
イエス・キリストに当たる救済者『メシア』は、ミトラ神そのものだとされています。
この2つの宗教は似過ぎているためにキリスト教はミトラ教を激しく弾圧しました。
あまりの激しい弾圧のためローマ帝国内でキリスト教の力特権を廃したユリアヌス帝も誕生しますが、
時代の流れには逆らえず、5世紀になると完全に消滅してしまいます。
ユダヤ教の特徴と信仰する神
ユダヤ教は中近東で発生した世界最古の宗教。
経典を「タナハ」と呼ばれる書物を聖典としています。
基本的にはキリスト教徒同じ旧約聖書と一緒ですが、成立状況が違うというところが異なる点です。
ただ、「タルムード」というユダヤ教の経典はヘブライ語で書かれています。
これも現在では、一部のユダヤ教徒だけに限られています。
唯一神『ヤハウェ』を信奉(しんぽう)し、
ユダヤ人を神に選ばれた民族――選民思想というのを持っているのもユダヤ教の特徴です。
しかし、現在このような選民思想は中心的な考えではなくなっています。
ちなみにユダヤの陰謀なる本もありますが基本、でたらめなので鵜呑みにしないでくださいね。
ユダヤ教の人口と聖地
ユダヤ教の世界宗教人口は、1500万人ほどで、主にイスラエルとアメリカが大半をしめています。
様々な歴史的悲劇にあったせいで、ユダヤ人たちは散り散りとなってしまいました。
そして今日まで人口数は少ないですが、南北アメリカやヨーロッパなど欧米を中心に信者がいます。
ユダヤ教の聖地はエルサレムの【嘆きの壁】です。
嘆(なげ)きの壁とは、A・D・70年にローマ帝国によって、神殿が破壊され残った神殿の西側にある壁のことをいいます。
聖書の中でユダヤ人の祖先である『アブラハム』が神から信仰を試され信頼を得るという場所です。
そのため、唯一残った嘆きの壁をユダヤ教徒たちは聖地としています。
ユダヤ教のシンボル
ユダヤ教のシンボルは五感で感じることのできる高尚のものから、言葉ではいい表すことのできないものも多いです。
その中でいくつか挙げていきますね。
*本枝の燭台*(もとえのしょくだい)
古くからユダヤ教の象徴とされ、イスラエルの近代国家のエンブレムでもあります。
*ヤームルカ・ヘックキャップ*
半球または皿形をした布製のもので、正統派ユダヤ教徒の男性が常時着用しているものです。
*ダビデの星*
2つの正三角形を合わせたもので六角形の形をしています。
17世紀からユダヤ教のシンボルとして使われ、中央ヨーロッパでは六芒星と合わせた【ダビデの盾】がユダヤの盾として使用されていました。
*チャイ*
ネックレスや宝石などの装飾品に見られ2つのヘブライ語を組み合わせたものです。チャイ=生きることを意味しています。
*ハメッシュの手*
世界中の多くの文化でこの手の模様は邪眼から身を守るとされています。
〜数字のシンボル〜
ユダヤ教には【数字】にもそれぞれ深い意味がありシンボルとされています。
コチラにまとめてみました。
「数字の3」
神聖なるという意味をもつシンボルです。
「数字の4」
宇宙が天と地球を含む3と1の合計であるというのと、神の御座(みざ)である天国を暗示しています。
「数字の5」半完成に分類されています。
「数字の6」不完全を表しています。
「数字の7」
神に関する一般的なシンボルで、ユダヤ教では神聖な契約などの目的でしようされていました。
安息日・サバディアルの日・記念の年は浄化と喪の期間であった7に基づいています。また完成を意味する神の数字です。
「数字の8」
新しい始まりを表し1週間の始まりなど、非常に重要な数字だとされています。
「数字の10」
絶対的完全性を象徴する数字です。
「数字の12」
3と4の積であり、人と神の集合を意味していました。
「数字の18」
18という数字はヘブライ語で人生(チャイ)という意味を含んでいるために重要な数字だと考えられています。
「数字の26」神の名を表しています。
イスラム教の特徴と信仰する神
1400年ほど前にムハンマドが開いた宗教で、
正式名をイスラームといい唯一神『アッラー』を信仰する一神教(いっしんきょう)です。
神が最後の預言者と言われているムハンマドを通じて下した「コーラン」の教えを信じ、行動するのが最も重要な事とされています。
コーランはアラビア語で書かれて、異言語への翻訳が禁止されています。
よってお祈りための必要最低限のアラビア語が必須です。
イスラム教の人口と聖地
キリスト教に次ぐ約16億人の信徒がいるとされています。
主に西アジア、北アフリカ、南アジア、東南アジアが中心で過去にイスラム帝国があった所に信徒が集中しています。
聖地はメッカとされていますが、当初はエルサレムに向かって礼拝をしていました。
しかし、ユダヤ教から反発があり区別をするためにメッカに変更。
その後メディナに変わり、そしてエルサレムの岩のドームとなりました。
偶像崇拝禁止と厳しい戒律のイスラム教
偶像崇拝を禁止しているため、
キリスト教やユダヤ教のようなシンボルは少なく、信徒同士の一体感を重んじていることが特徴。
イスラムの掟がそのまま法律になっている国も少なくありません。
それに女性蔑視がひどく、度々問題としてあげられています。
生活習慣として有名なのが、
- 【1日5回、メッカに向かって礼拝を欠かしてはいけない】
- 【ラマダンといわれる日中何も飲み食いをしてはいけない】という戒律があります。
イスラム教のシンボル
イスラム教は前述したとおり偶像崇拝を禁止しているため、
初期のイスラム教は現在と違い、神聖な記号ですら禁止にしていました。
ただ、現在はイスラム教を国教としている国旗に見られる【星・三日月】、そして緑色がイスラム教を示すものが代表的なシンボルとなっています。
それ以外にもいくつか代表的なものがありますので紹介していきます。
<緑色>
コーランによると天国に住んでいるものは緑色のガウンを羽織っていると解釈されていますが、あくまでも非公式です。
<白色>
平和と潔白を象徴する色として世界中に知られています。多くのイスラム教徒は金曜礼拝時には白色を着用しています。
<黒色>
イスラム教では謙虚さを表しています。
<赤色>
イスラム教とはあまり関係のない色ですが、イスラム教国旗にはよく使用されています。
さいごに
日本ではキリスト教は若干知られてはいますが、ユダヤ教はほとんど知らない人が多いかと思います。
しかしそれ以上にイスラム教への理解はかなり疎く偏見の目さえもっている人も多いのが実情です。
きっとこれから日本にはイスラムの方もかなり多く来日するようになってくるでしょう。
どうか偏見の目をもたないで接してみてください。
こちらの3記事も人気です♪
スポンサーリンク