「事」と「こと」の使い分けって、みなさん考えたことありますか?
おそらくほとんどの人は、文章の流れで「なんとなく」使い分けて書いてる…というトコロが実情ではないでしょうか。
この2つについて深く考えたことがあるって人は、少ないハズ。
しかし!この「事」と「こと」
れっきとした大きな違いがあるんです。
今日はこの2つの違いと【正しい使い分け】をレクチャー!
ビジネスの書類などで使い方を間違えていると、ちょっと恥ずかしいかもしれません。
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比べて歴然!「事」と「こと」の違いと正しい使い方
ひらがなの「こと」は形式名詞
…と言われても、よっぽど国語が得意な人でないと、わかりにくいですネ(笑)。
まず、形式名詞とは、
のこと。
例えば、
「そんなことはありません」
と言うセリフ。
この「こと」には具体性はありません。
必ず「そんな」というような“修飾語”が入ります。
- 「うまいこと切り抜けた」
- 「歩くことが楽しい」
みたいに、
“修飾する言葉”がついて成立します。
形式名詞の「こと」は、他の漢字に置き換えると違和感があるのが特徴ですね。
漢字の「事」は普通名詞の代わりに使用する
「大変な事になった」
という文で見てみましょう。
この文での「事」は、「事態」という名詞に置き換えられますよね。
「大変な事態になった」
と書き換えても、
同じ意味で文が成立します。
ここで、前述した「歩くことが楽しい」の「こと」を、別の名詞に置き換えてみましょうか。
「行為」という漢字に置き換えると、
「歩く行為が楽しい」
となりますが……
う~ん。
「歩くことが楽しい」とは、
少々意味がズレた気がしませんか!?
このように、漢字の「事」は、他の漢字・名詞に置き換えてもその意味が通じるのが特徴です。
ついついやってない?使い分けの注意点とは!
ついやってしまいがちなのが、
【文字数を気にして使い分け】
決められた文字数で文章を書くとき、ひらがなよりも漢字の方が文字数が少なくて済みますよね。
そのため「事」を多用してしまいがち。
Twitterなんかに文字数制限を気にして、やっている人……けっこう心当たりがあるのでは?
あともう1つ多いのが、
「漢字の方が堅い文章になると思って…」やっちゃってるパターン。
ビジネスシーンでの文章の作成などで、
な~んか「事」って書いた方が、格式高い文を書いてる感があるゼ!って思って、つい漢字を多用していませんか?
「そのこと」と書くより「その事」と書いた方が、どうしても“ちゃんとしてる”ように感じてしまいがち…。
でもコレ、分かる人には分かります!(笑)
きちんとした使い分けで、正しい文章を書いたほうが絶対にイイですね。
語源は象形文字だった!
”事(こと)”は、「言(こと)」と同語源の象形文字でした。
神への祈りの言葉を書きつけ、木の枝などに結びつけた札を手にした形
をかたどったものだったそうですよ。
「祭事にたずさわる人のさま」から、【仕事】【仕える】という意味を表すそうです。
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「事」と「こと」の今と昔の変化
ところが!
実は最近では【普通名詞】でも、漢字ではなくひらがなで「こと」と書く傾向が見られます。
これも世の中の流れであるので、絶対悪!というわけではありません。
そもそも、
- 普通名詞は漢字で
- 形式名詞はひらがなで
書きましょう!
という決まりができたのは戦後のこと。
歴史としては、けっこう浅い決まりなんです。
なので、お気づきの人もいるかもですが、
昔の文豪の『夏目漱石』や『森鴎外』などは、作品中で【形式名詞を漢字で書いている】パターンも結構多いんです。
ひょっとしたら、あと数十年後には、
「事」「こと」の使い分け自体がなくなっている…という時代がくるかもしれませんね。
「私事」の表記や使い方は?
さてここで、ちょっと豆知識。
【私事】という単語がありますね。
これ、読み方は「わたくしごと」と読みます。
私事の意味は、
ということ。
あとは、ちょっと隠したいことなんかを述べるときに使う言葉ですね。
個人的理由で会社を休みたい時に、
「私事で申し訳ないのですが、休みをいただきます」
大勢の前で自分の話をする際に、
「私事で恐縮ですが、結婚が決まりました」
“隠したいこと”という意味で使うならば、「アイツの私事をあばいてやる!」という感じ。
【人に言えない・見せられない事情や趣味】というところでしょうか。
ちなみにこの「私事」については、「私ごと」とは書きませんよー♪
まとめ
- 漢字の「事」は普通名詞の代わりに使用する
- ひらがなの「こと」は形式名詞
ココを抑えておけば、もう間違うことはナシ!
文章を書くときは、ちょっと気をつけて使い分けておきたいですネ♪
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