仏教において、亡くなったあとに付けてもらう名前を、戒名(かいみょう)といいます。
この戒名を、お坊さんに授けていただくときに必要なのが、「戒名料」。
さてみなさん、
戒名料の相場って、知っていますか?
興味ないよ~と思わないで!
葬儀とは、ある日突然やってくるもの。いざ、という時に調べていては遅いのです。
今日は、知っとかないと焦る!損する!?
真言宗の「戒名料の相場」「戒名のランク」「結局、お布施っていくら渡すの?」という
戒名にまつわるアレコレを、調べていきましょう。
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まず、戒名とは何かを知っておこう
戒名は、故人が浄土で使用する名前のようなもの。
位牌(いはい)にも刻み、自宅での供養(くよう)に利用します。
お仏壇に置いてある、たくさん漢字が書かれた黒塗りの板…と言うと、見たことのある人も多いのでは?
あの、「たくさん書かれた漢字」が戒名です。
ほとんどの戒名は 【院号・道号・戒名・位号】 で構成されていて、
○○院 □□ ★★ 居士(信士)
└─┘ └─┘ └─┘ └─┘
院号 道号 戒名 位号
こういう構成になっています。
お坊さんは、膨大な仏典の中から故人にふさわしいものを選び、戒名を授けます。
真言宗では、以前は院号をつける慣習がなかったのですが、最近では用いるケースも増えてきました。
戒名は位号によってランク分けされていて、お寺や社会に大きな貢献をした人には特別なものが選ばれます。
とくに修行などを積んでいない成人には、居士・大姉を用いることが多いですね。
位牌の一番上には【梵字(ぼんじ)】という文字をいれます。
真言宗では、成人の場合には故人の霊が大日如来の教えに帰入することを意味する「ア」を刻み、
15歳以下の場合には地蔵菩薩に導かれることを意味する「カ」を刻みます。
位号で変わる!真言宗の戒名料の相場
戒名をお坊さんより授けていただいたら、感謝の気持ちを「お布施」として表します。
ここでの説明は、「戒名料」としていますが、
お寺・お坊さんへお渡しするときは、商売ではないので、お布施として納めるのがスマートです。
さてこの時に、慣れない人間にとっては困ってしまうのが、
「明確な金額が提示されない」ということ。
「税込みで〇〇万円でっせ」と言ってもらえたら気が楽ですが、そうもいきません。
できるだけ、相場の金額を目安にして、恥をかかずに済むようにしたいもの。
戒名料は「宗派」「菩提寺の格」「地域」などによって、いろいろな考え方がありますが、
おおよそ、【位号】によって費用が大きく分かれます。
真言宗の場合は、
- 信士・信女→30万円〜50万円
- 居士・大姉→50万円〜70万円
が相場となってます。
居士・大姉が、最も多く利用されている位号です。
また、それよりも上の格として、
- 院信士・院信女
- 院居士・院大姉
などがありますが、
これらを利用するためには、お寺や社会に貢献していることが条件であり、
戒名料も、100万円以上を納めるのが相場です。
さあ、結局「お布施」はいくら包めばいい?
葬儀や法要でお坊さんに渡す「お布施」。
お布施にはちゃんと内訳があり、それによって合計額が変わります。
- 読経料(どくきょうりょう)
- 戒名料(かいみょうりょう)
- 御車代(おくるまだい)
- 御膳料(おぜんりょう)
これらの内訳を合計した金額を、「お布施」としてお坊さんに渡すワケですね。
ボンヤリと「お布施」という捉え方ではなく、内訳を知ったうえで準備をしたいところです。
お布施の全国平均は45万円と言われており、内訳はこのような感じ。
また、地域によってもお布施の金額は大きく変わります。
- イチバン低いのは北海道の平均31万円
- イチバン高いのは中部地方の60万円
なんと2倍近い差が!
これはおもに、宗教的な慣習のちがいによって差がついたと言われています。
次の項目では、各地域のお布施の金額を詳しく見ていきましょう。
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あなたの地域の戒名料・お布施の相場はいくら?
親戚やご近所づきあいがあるのなら、地域の相場は身近な人に聞くのが一番!
でも、「知り合いがいないよ~」という時には、困るものですよね。
そんなときの目安として、
地域別のお布施の相場をご紹介しましょう。
葬儀時のお布施<読経料・戒名料・御車代・御膳料>の相場
【北海道】の相場=31万円程
内訳:読経料が15万円・御車代が5000円・御膳料が5000~1万円・戒名料が15万円程
【東北地方】の相場=49万円程
内訳:読経料が15~20万円・御車代が5000~1万円・御膳料が5000~1万円・戒名料が20~25万円程
【関東地方】の相場=55万円程
内訳:読経料が15~20万円・御車代が5000~1万円・御膳料が5000~2万円・戒名料が20~30万円程
【中部地方①(新潟・富山・石川・福井)】の相場=41万円程
内訳:読経料が15~20万円・御車代が5000円・御膳料が5000~1万円・戒名料が20万円程
【中部地方②(愛知・静岡・岐阜・長野・山梨)】の相場=60万円程
読経料が15~30万円・御車代が5000~1万円・御膳料が5000~2万円・戒名料が20~30万円程
高いランクの戒名を希望する方が多く、少し高めの相場です。
【近畿地方】の相場=48万円程
内訳:読読経料が15~20万円・御車代が5000~1万円・御膳料が5000~2万円・戒名料が20~30万円程
【中国地方】の相場=33万円程
内訳:読経料が15万円・御車代が5000円・御膳料が5000~1万円・戒名料が15万円程
【四国・九州地方】の相場=32~34万円程
内訳:読経料が15万円・御車代が5000円・御膳料が5000~1万円・戒名料が15万円程
全国で比べてみると、かなり差があることがわかります。
地域性や宗派、様々な点を考慮して、ご家族と相談するのがいいですね。
また、経済状況によっては「お布施にお金をかけられない」という人もいるでしょう。
お坊さんへのお布施で悩んだ場合には、
- お坊さんに直接聞く
- 親族に聞く・相談する
- 葬儀社に相談する
などで判断して、包む金額を決めるのがいいですね。
一回忌以降のお布施の相場は?
一回忌以降の法事の、
お布施の相場も知っておきましょう!
これは、地域や宗派に関係なく、
が相場になってます。
3万円+御車代や御膳料、という場合もありますし、全てをまとめて5万円、としたりもするようです。
故人やお寺にも失礼にならないよう、
そして自分の負担にもならないように、妥当と思える金額をお包みしたいですね。
また、お寺と長く親交があるご家族の場合、「毎回決まった金額を渡す」と言う暗黙のルールがある場合も!
いざという時のため、一度家族や親戚に確認しておくのがオススメです。
戒名やお布施のトラブルは結構多い!
日本で行われる葬儀の、約9割は仏式です。
それでもお寺がからむ葬儀でのトラブルは、数多く報告されています。
最近は信仰心が薄い人が増え、
葬儀や法要の時だけお寺にお世話になる…という人のほうが多いですよね。
また、大きな声では言えませんが、
いい加減なお寺やお坊さんも増えているのも事実。
お寺と檀家の間で、意見が対立することも多々あるようです。
葬儀や納骨、法要などでトラブルにならないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
『位の高い戒名を付けてもらえない!』
先にも書きましたが、戒名の位というのは、
故人の地位や、社会・お寺への貢献度などによって決まります。
好きな位が選べるわけではありません。
「高額なお布施を払うから、高い位の戒名を付けてほしい」とお願いする方もいるようですが、
お金を積めば高い位の戒名を付けてもらえる、ということではないのです。
『高額な戒名料を要求されて困った!』
戒名料に決まった金額はないのですが、
相場よりも高額なお布施を要求されるケースがあります。
いい加減なお寺の場合、
位の低い戒名を授け、高額なお布施を要求する…ということもあるかもしれません。
一般的な人に付けられる「信士・信女」や「居士・大姉」で、100万円を超える戒名料になることはありません。
高額なお布施を要求された時は、葬儀社などに相談してみましょう。
戒名料をお安くしたい…
「戒名を安く抑える」と言うと、
故人に対して失礼かな……と心苦しくなる人もいるかもしれませんね。
しかしできる限り、遺族の金銭的な負担を減らすことは、現実問題として必要だと!
私は思っています。
戒名やお布施の金額は、お寺の言い値で決定される側面があるものですが、
「安心して・心にしこりを残さずに・料金をお渡しできる」ことが、遺族とお寺、双方にとってベストですね。
菩提寺(ぼだいじ)が無く、どこのお寺に依頼しても構わないという場合なら、
「お布施が定額制の葬儀社」を選ぶのが、今の時代、いちばんスマートです。
値段が明示されていて安心ですし、他の葬儀社の提供価格と比較することもできます。
遺族の希望に合わせたお寺や僧侶を手配してくれるサービスも増えています。
詳しくはコチラの記事を参考に♪
法要・お葬儀・戒名など色々な用途に利用できる『お坊さん便』についてまとめました。
代々お付き合いのあるお寺がある場合は、「戒名を安く抑えること」が難しいこともあります。
といっても、地域で法要を長く営むお寺ならば、法外な戒名料を要求されるケースは少ないと言えますね。
また、長いお付き合いがあるからこそ、
「お坊さんに正直に相談してみる」というのも一つの方法。
「経済的にできる限りの気持ち(金額)で構わない」と言ってくれるお寺が、ほとんどのはずです。
逆に、この時に嫌な顔をするお坊さんであれば、お付き合いを考え直したほうがいいかもしれませんね〜。
もう1つ「戒名料の債務控除を受けて相続税を減らす」という方法もあります。
葬儀費用は、相続財産からの控除対象になるのを知っていますか?
戒名料を含むお布施も、この控除対象に含まれているのです。
戒名料をムリに安くしなくても、充分に元が取れるケースもありますよ。
戒名がないと位牌が作れない?
「戒名をもらっていないが、位牌を作ることはできないのかな?」
という疑問が生まれるケースがあります。
- 「故人に“戒名をつけてほしくない”という意思があったとき」
- 「霊園に埋葬するとき」
- 「戒名の無い宗教で葬儀を行ったとき」
などが、これにあたりますね。
例えばこの記事を書いている私も、
「故人(父)の意思により、戒名の無い宗教で葬儀を行った」パターンのひとりです。
結論を言いますと「位牌を作ることは可能」です。
その場合は、戒名の代わりに俗名(生前の名前)を記します。
「〇山〇郎 之霊位」「〇山〇郎 之位」というようになります。
ただし原則的に、お寺にお墓がある方は、やはり戒名は授かったほうがいいと言えます。
金額的なことで戒名を付けることを悩んでいるならば、まずは相談してみましょう。
まとめ
- 戒名は、故人が浄土で使用する名前のようなもの。
- 戒名は【位号】によって費用が大きく分かれ、地域によっても金額差がある
- 一回忌以降のお布施の相場は3~5万円程度
- 戒名やお布施のトラブルは結構多い!きちんとした知識をつけよう
- 戒名料を安くする方法もあるので、困ったときはお寺や葬儀社に相談を。
- 戒名がなくても位牌を作ることは可能!
故人との最後の深い関わりとも言える、葬儀。
だからこそ、金銭的な部分で、心にモヤモヤを残したくないものですね。
気になることは、まわりの誰かにズバッと聞く!これが、いちばんスマートな方法かもしれません。
また、時代の移り変わりによって、セレモニーの形だって変わっていくもの。
自分が亡くなった時はこうして欲しいな、というのも、一度考えてみるのも、いいことです。
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